2分で読める ウイスキーの歴史
NHKで連続テレビ小説「マッサン」をやってたけど、あれってウイスキーの話らしいね。
ウイスキーってどうやって誕生して、日本でも作られるようになったんだろう?
忙しい方は下記の目次から ご興味ある項目に ジャンプ してみてください!
ウイスキーの起源
蒸留酒の起源
蒸留酒(じょうりゅうしゅ)というのは、発酵させて作ったお酒を、一度加熱して気化させ、それを冷やして再び液体に戻したお酒です。
[caption id="attachment_1803" align="alignnone" width="569"] 単式蒸留機(ポットスチル)[/caption]
蒸留酒の起源は紀元前3~4世紀のメソポタミアで錬金術を通じて発達したといわれています。
今でこそ当たり前にされている「蒸留」ですが、最初にこの方法を試した人ってスゴイですよね。
ウイスキーの起源
ウイスキーの起源には2つの説があり、いまだに結論が出ていません。
アイルランド 起源説
「アイルランド」はイギリス本島のすぐ西に位置する島です。
世界5大ウイスキーの1つ「アイリッシュウイスキー」の産地です。
1172年にヘンリー2世がアイルランドに侵攻した際に、兵士から「地元の民衆がウスケボーと呼ばれる大麦の蒸留酒を飲んでいた」
という報告があったという逸話があります。 ※この話の証拠は残っていないといわれます。
スコットランド 起源説
「スコットランド」はイギリス北部に位置するエリアです。
世界5大ウイスキーの中でも「スコッチウイスキー」は突出した存在で、日本のウイスキーもスコッチに倣っています。
1494年のスコットランドの記録に「王命により修道士ジョン・コーに8ボルのモルトを与えてアクアヴィテを造らしむ」という記述があり、ウイスキーの最古の文献とされています。
ちなみに「アクアヴィテ」はラテン語で”命の水”の意味で、蒸留酒の語源とされています。
これがゲール語(ケルト族の言語の一つ)で「ウシュク・ベーハー」と訳され、次第に「ウイスキー」に変わっていったとされています。
「ウイスキー」の名前の由来 が以下のどちらかというのも
いまだ決着のつかないテーマです。
樽熟成の起源
ウイスキーの色は?と聞かれたら、茶色を黄金色をイメージされると思いますが、実は蒸留した後のできたてウイスキーは「透明」です。
あの色は基本的に木製の樽から出た色なんです。
ではどうして「透明な蒸留酒を、わざわざ樽に入れたんだ?」という話です。
その理由は「バレないために樽に隠したから」です。
バレないため?誰から?
政府からです。
18世紀のスコットランドでは、ウイスキーに重い税金が課せられていて、
生産者は政府にバレないよう、北の山奥でウイスキーを「密造」していました。
[caption id="attachment_4480" align="alignnone" width="800"] ばれないように[/caption]
その際に、作りたての透明なウイスキーを樽に隠していたところ、
結果的に、まろやかで良い香りのする琥珀色のお酒にたまたま変身していた
という話です。
ウイスキーって こんな偶然で たまたまできたお酒なんです。
ちなみに、ウイスキーを樽で熟成すると何故美味しくなるかという事は、いまだに科学的にすべて解明されていません。
ウイスキーって神秘的なお酒なんですね。
[caption id="attachment_4481" align="alignnone" width="675"] 「天使の分け前」というウイスキー用語もあります[/caption]
シングルモルト ウイスキー グレンフィディック12年 [イギリス 700ml ]
アメリカとカナダ
「アメリカ」と「カナダ」のウイスキーは、共に世界5大ウイスキーの一角です。
アメリカのウイスキー
といえばバーボンウイスキーと聞けばピンとくる方もいると思います。
アメリカやカナダにウイスキー造りが普及したのは、スコットランド人やアイルランド人が、アメリカ大陸に移り住んできたからです。※まだアメリカが一つの国として独立する前の話。
アメリカの話を先にすると、 1794年の「ウイスキー戦争」が有名です。
アメリカが一国として独立した1783年以降、ウイスキーには重税を課されました。
これをキッカケに、スコットランド&アイルランド系の人々が暴動を起こし、ウイスキー戦争に発展。
[caption id="attachment_4490" align="alignnone" width="573"] 「アメリカ独立のために前線で戦ったのにー!」[/caption]
暴動は鎮圧されたものの、重税から逃れるために、当時まだ政府の管轄外だった、現在のケンタッキー州やテネシー州に移住。
その地で収穫できるトウモロコシでウイスキーを造り始めたことが、バーボンウイスキーの起源になりました。
カナダのウイスキー
の起源は、アメリカ独立の際に独立に反発したアメリカ東部の住民が、
国境を越えて五大湖周辺に移住して、ウイスキーを造り始めたことになります。
カナダはウイスキー輸出を禁止しなかったため、大量のウイスキーをアメリカ向けに製造し、莫大な富を築きました。
現在でもカナディアンウイスキーの7割はアメリカで消費されています。 日本だと「カナディアンクラブ」くらいしか目にしないですね。
日本
最後は我らが日本のウイスキー史です。ジャパニーズウイスキーも世界5大ウイスキーの一角を占めています。
ウイスキーの伝来
日本に最初にウイスキーがもたらされたのは 1853年の黒船来航と言われています。 ※この時「スコッチ」と「アメリカン」が持ち込まれました
1867年の福沢諭吉の『西洋衣食住』にウイスキーに関する記述がみられ、
1873年(明治6年)に岩倉使節団が欧米から帰国した際に、スコッチの『オールドパー』を持ち帰ったという話があります。
[caption id="" align="alignnone" width="160"] 「吉田茂」元首相が好んだことでも知られる[/caption]
国産ウイスキー 製造の歴史
日本のウイスキー造りの歴史には2名。 サントリー創業者の鳥井信治郎と ニッカウヰスキー創業者竹鶴正孝です。
鳥井が後にサントリーとなる「鳥井商店」を開業したのが1899年(明治32年)。 1906年に鳥井商店を「寿屋洋酒店」に改称。
一方の竹鶴正孝は「摂津酒造」に入社したのち、ウイスキーを学ぶために1918年(大正7年)にスコットランドに留学。
1923年(大正12年)にスコットランドから帰った竹鶴正孝が寿屋に入社。鳥井と共に日本初の蒸留所となる山崎蒸留所の建設に着手。
1929年(昭和4年) 日本初の本格ウイスキー サントリーウヰスキー(白札)発売
1934年(昭和9年) 竹鶴は鳥井のもとを離れ、 北海道余市に大日本果汁を設立
1940年(昭和15年) 大日本果汁が第一号となる 「ニッカウヰスキー」を発売
1952年(昭和27年) 大日本果汁、社名をニッカに変更。
1963年(昭和38年) 寿屋、サントリーに社名変更
日本のウイスキー造りは比較的最近始まったことが分かると思います。
そんなジャパニーズウイスキーが世界5大ウイスキーの一つに選ばれ、世界的な賞をたくさん受賞しているのは、同じ日本人として誇らしい事ですね。
年表まとめ
紀元前 3~4世紀 | 錬金術による蒸留酒の誕生 (メソポタミア文明) |
1172年 | ウイスキー アイルランド発祥説 |
1494年 | ウイスキー スコットランド発祥説 |
1800年前後 | スコットランドでウイスキーの密造により 偶然「樽熟成」がなされる |
1794年 | ウイスキー戦争(アメリカ) 重税を嫌ったスコッチアイリッシュ系が ケンタッキーやテネシーに移住して トウモロコシでウイスキーを造り始める (バーボンウイスキー起源) |
1920- 1932年 | アメリカ 禁酒法 時代 ウイスキーの輸出を禁止していなかった カナダのウイスキーがアメリカ内で急拡大 |
1918年 | 竹鶴正孝がウイスキーを学びに スコットランドに留学 |
1923年 | 帰国した竹鶴が、 サントリー創業者の鳥井信治郎と共に 山崎蒸留所を建設 |
1929年 | 日本初本格ウイスキー サントリー白札をリリース |
最後に
今回は少し教科書的な内容でしたが、
歴史を知ってから改めてウイスキーを楽しむことで、今まで以上にウイスキーへの興味が増しますよ。
それにしても、5大ウイスキーにおいて日本以外は全て、アイルランド人やスコットランド人が普及させたというのに、
ジャパニーズウイスキーだけは、大正の初めに日本人が自発的にスコットランドに赴き、
学んだ事をノートにまとめて帰国し、それを日本で普及させたっていうんですから、 同じ日本人として誇らしい歴史ですよね。
明日からのあなたのウイスキーライフが更に楽しくなることを!